2017年8月夏・編集発行・野尻湖フォーラム

野尻湖と国立公園の関わり

環境省戸隠自然環境事務所
自然保護官 梅田実生子, 自然保護補佐官 前田久美子

 前回の平成28年の冬号では、国立公園とは何か、どのようなしくみで管理がされているのかといった国立公園の基本的な仕組みについてご説明しました。今回は、より掘り下げて「国立公園 野尻湖」についてお話していきます。

■日本の国立公園の歴史

 日本で最初に国立公園が指定されたのは、昭和9年(1934年)です。

 大正10年(1921年)に国立公園制度創設に向けた全国調査が行われ、その調査に基づいて国立公園指定が始まりました。当初の指定では瀬戸内海、雲仙(後に雲仙天草)、霧島(後に霧島錦江湾)の3国立公園を皮切りに、大雪山、阿寒、日光、中部山岳、阿蘇(後に阿蘇くじゅう)が指定され、昭和9年だけで8つの国立公園が誕生しました。当時は、原始性の高い山岳の大風景地(大雪山、中部山岳など)と伝統的風景観に基づく名勝地(雲仙、日光など)の双方が指定されました。

 日本に国立公園が誕生した昭和9年前後は、世界恐慌(昭和4年)により経済が非常に混乱していました。そのため、この不況を外貨獲得によって乗り越えようと、国策として観光の分野に着手したのです。国立公園は自然環境保全が目的で誕生したと思われることが多いですが、きっかけとしては主に外国人観光客誘致、つまり利用を目的として、日本の国立公園は誕生しました。現在もインバウンド施策のひとつとして国立公園のブランド力アップを目指しています(2016年冬号参照)が、実は誕生当時からインバウンドが国立公園の目的のひとつと考えられていたのです。 ⟩⟩⟩

 


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