2017年12月冬・編集発行・野尻湖フォーラム

電報閑話

文と写真 小林力

「フタエニオリテ クヒ゛ニカケルシ゛ュス゛」
「二重に折りて、首にかける数珠」

ひとつの区切り点を忘れたための結果です。

 また金に困った学生が実家に送った電報のこんな話もありました。

「カネオクレタノム」

翌日、実家から返事の電報が届きます。
「ノムナ ソノカネオクレ」

彼も区切り点を忘れていたのです。両親は思ったのでしょう。親切な人がいて我が子に金をくれたのだろう。そんな親切心のある金をただ飲んでしまってはいけない。家も貧しいのだ、飲むならその金を家に送らせよう。

「カネ オクレ タノム」2つの区切り点を忘れた笑える話です。

 さて、電文の話ではありませんが、電報が運んだ少し切ないお話をひとつ。子供の頃、祖母が話してくれた昭和初め頃の私の村の話です。

 丸く低い里山に囲まれた農業しかできない狭い山里のこと、田んぼも畑も決まりきった面積で、家族が増えると食べていくことができません。男たちはそれなりの年齢になると東京へ出稼ぎに行きました。私の親父も冬場だけの出稼ぎを何年か経験したそうです。それも嫁を貰った半月後、いつものお菓子問屋へ出かけました。嫁(私の母)には気の毒なひと冬だったろうと思います。 ⟩⟩⟩

 


文頭へ前へ次へ