2017年12月冬・編集発行・野尻湖フォーラム

童話館だより(1)

黒姫童話館館長 北沢彰利

 湖畔から少し登った林間に建つ末高さんの山荘からは、緑の枝越しに野尻湖がよく見えていました。

 「ビーフシチューをしこんだから」
と、その日の末高さんもキッチンのカウンターからダイニングへと忙しく動き回り、料理の品を並べてくれていました。そのダイニングの大きなテーブル越しに、杉山さんと初めてお会いしたのです。

 会話が弾み、と書きたいところですが、ご挨拶から探りがちに進む会話から、杉山さんもよく分からないままに、この場に招かれていることが、うかがい知れました。

 アクティブな末高さんの頭の中には、野尻湖を愛し停滞する今を開こうとするジャーナリスト杉山さんと、年々落ちる来館者数になんとか打開策を講じたい新米の館長の交流図が描かれていたのでしょうが、そこまで行き着かない内に、私が飯田へ帰る時間となってしまいました。

 私が、本当に杉山さんとの出会いを実感し感謝するのは、その日いただいた杉山さんのご著書を、後日読ませていただいてからになります。
『私の落葉美術館』、装丁からページの一枚一枚まで、静かな美しさと愛情に満ちた一冊でした。

野尻湖文化の深さ

 画家平山英三・和子ご夫妻のお名前は存じ上げていましたが、その画業や「落葉美術館」については、詳しく知る機会がありませんでした。 ⟩⟩⟩

 


文頭へ前へ次へ