2017年12月冬・編集発行・野尻湖フォーラム

童話館だより(1)

黒姫童話館館長 北沢彰利

 一年に一日だけ開館する「落葉美術館」を訪ねることなく終わってしまったのは残念ですが、杉山さんのこの一冊によって、私は「落葉美術館」に入館し、飽くことなく夢想する鑑賞者となることができました。

 またこの日、私は『野尻湖物語』(新堀邦司著)も手にすることができました。この名著も、私に野尻湖文化の深さ豊かさを教えてくれました。春から四季を追って編集し直された改訂版ですが、豊かな自然を背景として、史跡、地域文化、人物それぞれが魅力的に描き出されていきます。

 読み浸りながら、私は杉山さんからいただいた『野尻湖フォーラム』への原稿依頼に安請け合いしたことを、後悔していました。

 巨大な野尻湖文化の片鱗にふれた私は、自分がまだ何も知らないことを、思い知りました。こんなにも素晴らしい野尻湖文化の地で、しかも真摯に関わる優れた文化人が居並ぶ中、この四月からまだ一年にも満たない新参者の私が語れることはないと、覚ったのです。

 それでも、こうして原稿を書かせていただいているのは、何か優れたことを語るのではなく、異郷の地から加えていただいた私が出会った野尻湖文化の素晴らしさをお伝えできればと、思い至ったからです。童話作家を生業としていますが、遅筆です。確かな手応えでつかみとったものしか書けません。ゆっくりとおつきあいください。

この景観は人を惹きつける

 この初回の稿でまずお伝えしたいのは、この地の景観の素晴らしさです。 ⟩⟩⟩

 


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