2018年7月夏・編集発行・野尻湖フォーラム

野尻湖ナウマンゾウ博物館リニューアル
人々が集う地域拠点としての博物館を目指して


カフェの壁画を描いた守田真子さん

 「『野尻湖ナウマンゾウ博物館』周辺地図の壁画を描いて欲しい」との依頼を受けました。カンバスとなったのは、1階カフェスペースの湾曲した大きな壁。来場者の方が博物館内を巡った後で、お茶を飲みながら一息つく場所です。なんとなく壁画を眺めているうちに、わくわくして、散策に出かけたくなる…ことが目標。依頼内容から「より親しみやすい博物館」として生まれ変わり「町とのつながりを大事にしていきたい」との想いをひしひしと感じました。

 お話をいただいた秋から構想をはじめ、実際に現地で壁画制作をしたのは1月2月。雪に覆われた町を、とにかくなんども歩き回りました。晴れ間がひろがる短い時間、ふいに姿を表す黒姫山と妙高山の堂々とした姿に息を飲み、大きな樹々の枝ぶりに目を見張って…。目に映る風景を頼りに、壁画の地図を少しずつ描き足していきました。

 私からの提案は、「現在の地図」に「古の野尻湖周辺の物語」をも描き込む、というもの。「ゆたんぽの化石(ゾウの臼歯)」が発見された地点、その後の野尻湖発掘地を描き込み、骨器や石器を見つかった地点付近に描き込みます。学芸員さんや博物館を訪れる研究者のみなさんに教えてもらいながら7万年前の野尻湖誕生まで遡りました。

 博物館をじっくり楽しみ、壁画地図で位置情報を確認した後で町歩きに出かけることをお勧めします。今目の前に見えている風景の向こうに太古の風景が見えてくることでしょう。現在田んぼである場所に、4万年前の湖面のきらめきを重ね、悠然と歩くゾウの姿を思い浮かべてくれたらとても嬉しいです。

守田真子 スケッチジャーナリスト。
MAKO.pen&paper(マコペンアンドペーパー)という名で活動して5年、現在長野市にアトリエ「WANDERLUST(ワンダラスト)」を構える。名古屋市立大学芸術工学部にて芸術工学学士、タスマニア大学大学院にてMaster of Architecture を取得。

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