2018年7月夏・編集発行・野尻湖フォーラム

野尻湖ナウマンゾウ博物館リニューアル
人々が集う地域拠点としての博物館を目指して


ゾウの系統樹を描いた松田朕佳さん

 2017年の夏、博物館にて化石のレプリカ着色のアルバイトをしたことがきっかけでリニューアルオープンのチラシやゾウの系統樹の制作を依頼していただきました。

 それまでゾウといえば鼻が長いということくらいしか知らなかったので、学芸員の方たちに教えていただきながら何度も修正し、制作に約半年関わることになりました。

 発掘によって見つかっている花粉の化石から当時の植生や気候を想定し、骨の化石の一部からナウマンゾウの生態を想像する。それらの"想像"は個人的なものではなく、世界中の他の地域で発見されている化石や現時代に存在する植物や動物の研究データに裏付けされたもので「化石に残らない鼻の長さがどうしてわかるのか」という、何度となく聞かれたであろう質問にも間髪入れず答えが返ってきました。「足の骨の長さから」と。日々化石と向き合っている研究者にとってはナウマンゾウの群れが野尻湖畔にいる様子がリアルに見えているということを、細部に渡り指示をする口ぶりから確信することができました。

 私の絵の仕事は、その研究者たちの頭の中のイメージを視覚化し、博物館を訪れる人々と共有することです。今の野尻湖には大型動物はいなくなり、たくさんの人間や人工物で溢れていますが、4万年前にはナウマンゾウやオオツノジカたちが生きていました。そのことに想像を馳せることで、私たちが日常生活の中で感じたり考えたりするよりもっと長い時間の流れの中に身を置いてみることができるでしょう。これは私が今回の制作に関わった中で強く印象に残ったことのひとつです。

松田朕佳(まつだちか) 野尻湖小学校卒業。高校卒業後ニュージーランドに渡りNelson Marlborough Institute of Technologyにてアートを学ぶ。2010年にアリゾナ大学大学院を卒業後、北米、ヨーロッパを中心に制作発表。現在黒姫在住。

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