2018年7月夏・編集発行・野尻湖フォーラム

孫の日記

文と写真 小林力

 5月の炎天下でのお手伝いは小豆の種蒔き。準備万端に用意された畑の畝に沿い、おばあちゃんの先にたって、教わった通り小さな手で種小豆を蒔いていきます。おばあちゃんは後からムラ直し。わずか20mほどの畝が3本、種小豆を蒔き終わって土掛けのころから孫の様子が変になり、畑の中ほどに座り込み、ものも言わないで土まんじゅう作りをしています。わずかな時間なのに、暑さにノビた様子で、手悪さだけで動こうとしません。

 後日、孫娘の日記に皆が首をひねって笑いました。

 天気の様子を書いたり畑の様子を書いたり、おばあちゃんとの種蒔きの様子を書いたりと、自分の感じたことを書いて、最後に「小豆の種は小豆でした」と締めくくってありました。小豆の種は小豆だということを知らなかったのでしょうか。

 この日記の後に書いた作文に、
「私たちが食べているトウモロコシは黄色い色をしているのに、おばあちゃんが蒔くトウモロコシの種は赤い色をしています」と書いてあったそうです。消毒済みのトウモロコシの種であることを知らなかったのか、食べる時のトウモロコシとの違いを不思議に思ったようでした。思わず笑いを誘った小学1年生の時のことです。

 またある日は、私が畑の畦の蔓根の伸びるクローバを剥ぎ取っていた時、それを見ていた孫娘が「じいちゃん、シロツメクサの名前のわけを知ってる?」と尋ねてきました。「知らないね」と答えると孫娘は静かに話し始めました。

「昔、王子様が好きになったお姫様にプレゼントを贈ろうとしたけど、プレゼントを入れるちょうど合った箱がなかったの。そこで王子様は大きめの箱にプレゼントを入れて、箱のすき間に白いクローバの花をつめて贈ったんだって。プレゼントが動かないように、壊れないようにと気をつかってクローバの花をつめて贈ったんだって。お姫様はプレゼントとクローバの白い花の贈り物をたいへん喜んだの。それからクローバの花を『シロツメクサ』と呼ぶようになったんだよ」
「ふうーん」と言いながらも、これは孫娘に教えられました。  ⟩⟩⟩

 


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