2018年7月夏・編集発行・野尻湖フォーラム

孫の日記

文と写真 小林力

エサをやろうとしても逃げてしまいます。
 おじいちゃんは「ボケ」と呼んでいます。「ボケ」なんていけないよ、とおじいちゃんに言ったら、逃げてばかりいるからかわいくないんだそうです。だから「ボケ」と呼ぶんだそうです。おばあちゃんも「ボケ」と呼んでいました。
 でも私は「ポケ」と呼びます。「ボケ」ではかわいそうだからです。

 孫娘は道徳の授業か何かで相手を見捨てるような言葉は良くないことを学んだのでしょう。老いて言葉の難しさを孫娘に教わりました。

 この2匹の猫、チイは平成29年の4月に遊びに出かけたまま帰ってきません。一方のボケは平成30年の4月に遊びに出かけたまま帰ってきません。食べていたエサが袋に半分残ったままです。

 春5月、村内の最寄り普請の時、今年から参加された近くの別荘の人から「猫、元気ですか?」と突然尋ねられました。
「エ?」
「お宅の前の道を通る時、いつも見かけていましたから知っていました。お宅の猫はよく家に遊びに来ていましたよ。2匹とも」
「エ?」
「尾っぽの丸まった大きな猫と尾っぽの長い猫と2匹とも来ていましたよ。でも来るのは別々でした」

 私の家から別荘の彼の家までは2キロ程も離れています。山道と田圃道、どうやって遊び先までたどり着いたのか。確かにチイは一週間くらい家にいない時がありました。迷惑をかけたのではと思い、お礼を言いながら2匹とも帰ってこないことを話すと、驚いたように、

「そう言われれば、尾っぽの丸まった大きい猫は今年は来なかったね。でも尾っぽの長いほうの猫は今年の春先には来ていましたよ」  ⟩⟩⟩

 


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