2008年7月夏・編集発行・野尻湖フォーラム

野尻湖畔公園(風と水との空間)への思い

池宮 理久

 長年、誰もが必要だと思いながら、なぜだかできなかった野尻湖畔の親水公園がやっとできました。

 国立公園でありながら親水空間がなくて、来訪者に「湖でゆっくりできる所」と聞かれても、今まで誰もうまく答えられなかったんですね。町民、近在の人が水遊びしたいと思ったって、どこにも公の場がなかったわけです。 湖とその周辺が国立公園に指定されたほどの自然を、住人にも来訪者にも説明ができて、またそれを楽しみ憩える所が欲しかったですね。 おかしな話でしょ。今までなんで親水公園を作るというふうにならなかったのでしょう? 観光協会とか野尻の住民だけではなくて、信濃町、長野県、国なども含めて考えてみて。 

lakeside_park  長野県の北のはずれ日本でも最も自然の残っている所です。親水公園は、町民、近在の方には、地元にある湖を個人なり家族なりで遊べてゆっくりできる場所。国立公園としては野尻湖を広く国民が楽しめる場、なんていう感じでしょうか。きっともっとたくさんの意味があるはずですね。国(環境省)も県も町も昔、野尻湖を国立公園と定めた時にはいったいどんな夢があったのでしょう。そんなことを考えてしまいます。

 昨年、間瀬氏を代表とする“野尻湖と親しむプロジェクトチーム”が、信濃町観光商工課の取りまとめで、住民、季節住民、観光協会、野尻区、野尻漁協、ナウマンゾウ博物館、信濃町総務課、環境省が参加してできました。この会は今まで何度も信濃町役場を中心にして作られた野尻湖のことを考えるプロジェクトが出した答申を実行するための会と位置づけています。初年度の議題の中に野尻湖畔東大寮跡地の利用がありました。代表をはじめ、チームのみんな頑張ったんです。その結果、親水公園が東大寮跡地にできました。この会の1年目の目標は達成されました。この会のメンバーの努力に住民のひとりとして心から御礼を言いたいです。

 プロジェクトチームの中には夢がありました。野尻の歴史と自然の声に耳を傾けて、住民からかけ離れることなく、地に足がついた道を歩きたいということです。

  1. ナウマンゾウと野尻湖人のおもしろさをもっと知らせたい。
  2. 野尻湖の中、外の自然を解りやすく紹介したい。
  3. 住民が水遊びできたり、遊んだり、のんびり過ごせる湖畔を作っていきたい。

 このテーマを追いかけてできた親水公園は、面積は小さめですが大きな夢の始まり、第一歩になったような気がします。

 野尻湖ってきれいですよね。そしてたくさんの物語が野尻湖の歴史の中にはあります。この公園を訪れた人に、どんな野尻湖を感じてもらえるか、これから楽しみです。

 

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