
我が野尻のお祭り
平成二十二年宇賀神社式年大祭を振り返って
この9日間の毎日を、暮れなずむ頃に点灯し、気分と都合による自分勝手な時間に消灯するという日々を過ごした。9日間ものあいだ、何故か一度も雨に降られる日もなく、それどころか毎日が必ず月明かりの中で、点灯・消灯を繰り返してきたのだ。確か、この期間の25日が満月だった。琵琶島の真正面に位置する「舟小屋」付近では、満月とライトアップされた大鳥居、その下に湖面に映し出された満月があって、それらが縦一直線に見えるさまは、えも言えぬ光景だった。これを毎日体感したものだから神懸かっているとしか思えず、確かにこの夏、宇賀神社の祭神がご降臨なさったのだろうと思いこんでしまうのである。
それはともかく、「大鳥居のライトアップ」が公の認められることとして毎年恒例となり、地域の人達が家族で、そして観光客も誰もが、夜な夜な野尻湖の畔に集い、挨拶を交わし言葉を交わす。そこで出会う顔と顔は、皆明るく元気で楽しそう。こんなほのぼのとした光景が、地域の人達をはじめ多くの人達の楽しみであり喜びであり、そして癒される空間であったら嬉しいなぁ、と心から思う。そして行き交う人々に感謝し、自然に感謝し、その時間を与えてくれる神々に感謝する。これが「祭」の原点のように思う。
「祭」を想う。あっ、笛と太鼓の音色がまた聞こえてきた。
*佐藤幸雄プロフィール*
昭和28年野尻生まれ。25年程前、神楽の笛・太鼓を継承し、2年ほど神楽部に所属。その後祭事からは遠ざかっていたが、平成20年に氏子総代に選出され、平成21、22年氏子総代会副会長として活動する。