2010年12月冬・編集発行・野尻湖フォーラム

国際村診療所の思い出

長島金二

 一方診療所は人の住んでいた様子が感じられない木造の建物の一部に、小さな机と木製の椅子がポツンと置かれているだけで、看護師もおりませんでした。診療所の別の場所には、骨組みだけとなった入院ベッドの残骸と思われるものが天井に届くまで積み上げられていたので、今、当時を振り返って考えると、診療所には入院の設備が整っていた時期があったが、国際村の周辺に入院可能な診療機関が多少遠くてもできたために入院への対応が不要となり、外来診療のみに限定され、さらに時が経って村の近くに診療所も新設されるようになり、村の診療所は役目を終えて閉鎖されたのではないか、と勝手な推測をしています。

 診療所は以上のような状況でしたが、私の滞在期間中のある晩に、求めに応じて往診し、急性虫垂炎の診断で、手術可能な施設へ搬送した症例もあり、ほっとしたことを憶えています。

 ずっと以前より楽しみにしていた野尻湖の再訪でしたが、ゆっくりする間がなく残念でした。次回は宿泊して湖畔のナウマンゾウの群像、博物館、国際村などを巡りたいと願っております。

国際村のプール
今も42年前と変わっていない国際村のプール

 


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