2017年8月夏・編集発行・野尻湖フォーラム

虫が見えない

池宮理久

 手軽に使うようになっているのか。殺虫剤、除草剤、殺菌剤の影響。これらは虫や草や菌を殺すための毒薬なのだから影響も何もないが。これほど大きな範囲で影響を及ぼしているかは根拠に乏しいということだった。

 いくつかのテーマについて話を聞いたけれどまだ明確に答えを出せるところまではいかないが、昆虫が減っているということを否定する意見を言う人は少なかった。県環境保全研究所の方が言うように複合的な理由かも知れない。その中で戸隠のレンジャーの方が山の虫は減っていないと言っていた。山に昔のように虫たちはいるのか? 戸草の源氏ボタルも減っていない。ホタルは生まれてから殆どの期間を流れる水の中で暮らしている、水に守られているということなのか?

 知人の親子が虫かごを持ちクワガタやカブトムシを探しに夜出かけていった。帰ってきた虫かごの中に1匹のクワガタがいた。あきらめて帰ろうとしたら1匹やっと見つけた。前はいっぱいいたんだけれど。そんなことを言ってため息をついた。

 虫と僕たち。同じ大気の中で、同じ土の上で、同じ水を得、同じ気温、同じ環境に暮らしている、その虫がいなくなっているとしたら。虫を食べている鳥は。植物が実をつけるために必要なのは蜂など蜜を求める虫たちだ。それらの代わりを人の手でするには限界がある。レイチェル・カーソンさんの書いた本『沈黙の春』を思いだす。

 うーーーん。もう少し詳しく調べてみよう。

 


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