2010年12月冬・編集発行・野尻湖フォーラム

我が野尻のお祭り

 平成二十二年宇賀神社式年大祭を振り返って
佐藤幸雄

 「祭(まつり)」と言えば、すぐ神楽の笛と太鼓の小気味いい音色が耳の奥に聞こえてくる。今年の夏も9日間にわたる宇賀神社の式年大祭は、猛暑の中もこの神楽の音(ね)に包まれていた。あれから早いものでひと月あまりが過ぎ、もう10月となる。

 10月は異称で神無月(かんなづき、かみなしづき)と言われるが、諸説では「神のいない月」という解釈で、すなわち出雲大社に全国の神が集まって一年の事を話し合うため、出雲以外には神がいなくなる、というものである。実際、出雲では旧暦10月を神在月(かみありづき)と称している。出雲地方のほかに神在月とする地域が1ヶ所あり、諏訪大社の周辺となっている。これは伝承によれば、かつて諏訪大社の祭神であった「諏訪明神」があまりにも大きな体であったため、それに驚いた出雲に集まった神々が、気遣って「諏訪明神に限っては、出雲にわざわざ出向かずともよい」ということになり、神無月にも諏訪大社に神が有ることから神在月とされている。さてこれとはまったく違う話だが、今年の夏、野尻湖には宇賀神社の祭神が確かにご降臨なされたという実感が、今も私の心にしっかりと居着いているのである。

 思い起こすと平成21年8月29日宇賀神社例大祭最終日、今年の祭事もすべて終了し後片付けも済んだ後、氏子総代の面々が揃い、休む間もなく「さて来年は7年に一度の式年大祭の年となるが…」と、平成二十二年宇賀神社式年大祭はここから始まっていた。

 平成22年新年早々、里宮で氏子の初詣を迎えながらも話題にあげて、イメージ作りに取り組んでみる。3月27日氏子総代責任役員会を開催。4月24日宇賀神社冬囲い撤去作業。そして恒例5月8日の宇賀神社清掃ほか作業の後に、氏子総代各自から忌憚のない意見を聞き合い、5月29日臨時氏子総代会で「平成二十二年宇賀神社式年大祭」の準備検討会に至って、この会議で今年の式年大祭期間の特別行事を具体的に決定する運びとなった。この日までの企画段階では、ぜひ取り上げたかったものとして「野尻湖甚句の生歌による踊りの復活」があった。しかし準備不足ということで、やむなく今後の取り組み材料(課題・希望・夢)とした。

 


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