2010年12月冬・編集発行・野尻湖フォーラム

編集後記


風見ゾウ

 天候が日替わりだ。今シーズンの初雪は10月末にあった。ここ数年では早いほうで、夏が猛暑の年は雪の多い冬になるという予想だったから、やはり、と思った。が、その後、暑くなったかと思えば次の日は寒波、次の日は小春日和でその次は雨、極端だが、そう感じるくらいに天候が実に目まぐるしく変化する日々が続いている。

 猛暑続きで長かった夏、今年は宇賀神社の式年大祭の年だった。信濃町に来て20年経ったが、御開帳を拝観したのは何とこれが初めてだった。夏は忙しくて、これまで神楽の音に胸躍らせながら、湖上渡御を岸辺から見るのみだった。今年は宝物を見た上に、湖上渡御も湖に出て間近に見るという体験をした。そしてますますこの祭りの貴重さを実感することとなった。

 私にとって祭りというと、お囃子に縁日の露天、と祭り騒ぎのイメージしかなかったのだが、信濃町に来て、本当の意味の神を祀る(まつる)祭りを実感した気がする。湖上渡御はその極めつけで、毎年見るたびに厳かで神々しい気分になる。それに祭りが地元の人たちにとても近いのだ。野尻の誰彼の力なくしてはこの祭りは成り立たない気もする。

 今年は氏子役員の方の広報活動で全町に折込チラシも入り、長野のメディアの取材も受けられたそうだ。それによって宇賀神社のお祭の内容を初めて知り驚いたという信濃町の他地区の人たちも多かったと聞く。野尻だけでなく我が町の誇れる祭りだと確信する。ぜひ継承していかねばならない。今度こそは戸隠神社の太々神楽を見たい。(S)

 

 


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