2010年12月冬・編集発行・野尻湖フォーラム

宇賀神社神幸祭について

宇賀神社宮司 宮川滋彦

 町廻りと呼ばれ親しまれているこの行事は、正式には、「神幸祭」(みゆきさい・しんこうさい)と呼ばれ、神様をお乗せした御神輿が村里を巡幸(じゅんこう)されること、見廻れることを言います。いつから行われているのかは私も知りませんが、古くは、琵琶島の本宮の左隣にある神輿殿の神輿を使用していました。しかしながら、重さが四百キロ以上あるため、担ぎ手が不足して、現在の二百キロ程度の神輿に代わりました。この神輿を、8月26日の例大祭終了後、白丁という装束を着た氏子の皆さんと神楽の皆さんが、琵琶島にお迎えに来て、神輿を担ぎ出し(渡御)台船に乗せ、里の御旅所(おたびしょ)と呼ばれる一時お鎮まりになる場所(旧公会堂)にお連れし、27日は御休みになり、28日、稚児・五穀捧持の皆さんと里を巡幸され、また船に乗られ琵琶島のお社にお帰りになる(還御)のが習わしでありました。里における巡幸も、白丁という白い装束を着た氏子の皆さんが担いで行っていましたが、やはり負担が多いとのことで神輿車を準備し、そこにお乗せするように変わりました。そうした形態が、平成6年まで続いていましたが、その年の秋、御旅所として使用していた旧公会堂が老朽化のため取り壊しとなり、里でのお泊りのなる場所がなくなってしまったこと、また琵琶島のご社殿から船着場への参道は階段が多く、神輿を担いでお連れすることに危険が伴うようになってきたこと、そして湖の渇水、災害などの理由により、平成7年から平成9年まで自粛または中止をしています。

 平成9年秋、旧公会堂跡地に、伊勢の神宮から拝領した平成5年時の遷宮の古材を利用した里宮が竣工したため、平成10年の式年大祭を機に、4年ぶりに湖上渡御を行い、同時に御神体を里宮に分祀しました。里宮は御旅所とは違い、神様のお住まいであるため、琵琶島の本宮にお帰りいただく必要もなくなり、神輿も里宮におくことになりました。

 


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